2007'02.04 (Sun) 01:56

栞の主食がアイスクリームだと聞いて笑い出すみんな。
一人「えっ、なにがおかしいの?」と理解できない主食がたい焼きのあゆ。
これに限らず、今回の表情演技(特に百花屋以降)は凄く細かいです。
栞・香里のみならず、名雪・あゆにも注目してみると面白いです。
北川の「俺に無断で手を出しやがって」で、頬赤らめる栞、苦笑気味の名雪。
名雪の「祐一のはそういうのじゃないんだよ」セリフに、「そういうのって?」とマジで分かってないあゆ、微妙に寂しげ(自分でも祐一がそうだということに気づいてるっぽい)な栞。
香里が来てはっと真剣な表情になる栞・祐一。迷いやためらいが見える香里の顔。不安げな栞。
うつむいたまま、香里にケーキを渡す栞。
「どうぞ。…よかったら、食べてください」
「ありがとう」
(この「ケーキを渡す」という行動にどれほどの栞の不安が隠されているのでしょうか。自分の誕生日に来た人が、自分のよそったケーキを食べてくれなければ、それはその人が自分の誕生日に参加してない・祝ってないということになってしまいます)
顔を合わせず、沈んだ声で交わすやりとり。
香里のことをチラ見する栞。正面しか見てない香里。
北川変身。驚くあゆ、激驚く(つうか引いてる)香里、取り敢えずビックリしている栞、さすが秋子さんの娘、そんなに驚いてない表情の名雪。
祐一と北川の
大爆笑のあゆ・名雪・栞の友達。
驚いてる美坂姉妹。
泣きそうな、泣き笑いしそうな感じの二人。
そして同時に笑い出す二人、それに気づいて素に戻り、目をそらす二人。
ちらっとお姉ちゃんを見る栞。
そしてちらっと妹を見る香里。
目が合う二人。驚いて目をそらす香里。
さらに見る栞。

いったん目をそらし、決意したようなまなざしで、真剣なまなざしで香里を見据える栞。
栞を一瞬チラッと見て、また一瞬、それでもさっきよりは長くチラッと見る香里。
そして栞が差し出したケーキを食べる香里。
栞もケーキを食べだす。二人で、ケーキを食べる。
この真剣なまなざしに、栞の心の訴えが凝縮されていて、それを受けて、栞の存在を受け入れて、ケーキを食べだす香里。
ええーい、とにかく表情が凄すぎる!!!
勿論ここ以外も凄すぎです。

個人的に一番素晴らしいのは、祐一が「俺は栞と会えて、良かったと思ってるぞ」と言った後の栞の表情。自分が迷惑をかけると思っていながらも、その自分を受け入れてくれた祐一。そして、本当に後悔もなく受け入れてくれた祐一の言葉に、驚きと、嬉しさと、そしてそれでも自分が死んでしまうという悲しさに満ち溢れた表情…。
そしてこの、表情で全てを伝えようとすることが、逆にアダになってしまうのです。
さらに、表情以外にも、栞シナリオの色んなことを『絵』で表そうという試みが、凄いけど逆にアダになってしまう。
【More】
追記:後々になって。
全然トンチンカンなこととか書いてるのに気づいたので、消しまくりました。消したのは酷すぎる所、斜線引いたのはそこそこ酷いところ。
一応こっちが栞シナリオに関するガチなエントリー。ポエミーですが。
http://bdkiss.blog54.fc2.com/blog-entry-240.html
本気で書いてるから、ポエミーなんだ!ってことでここはひとつ。
こんな解釈してるヤツ僕以外にいないっぽいのでアレですが、つうかこんなことほざいて結構恥ずかしいのですが(苦笑)。
原作栞シナリオの素晴らしい所はいくかあるのですが、まとめると「積み重ね」と「日常」とそれの「終焉」、そして無意識に近い「人と人との繋がり」です。
中庭で栞と会って、些細な日常を積み重ねていきます。
けれどそこに時々混じる不穏な気配。

(中庭に対して)わざわざそんな寒そうな場所に行くつもりは毛頭ない。
時折、笑顔の合間に栞が見せる表情…。
見せたくない表情を笑顔で覆い隠すように…。
同じような晴れの日はこれからもあると思いますけど、今日と同じ日はもう来ないんですよ。
あと2週間もあるじゃないか。
2週間も、じゃないです。
2週間しか、です。
(中庭に対して)こんな所、人の来る場所じゃないぞ。
悲しいくらいの笑顔。
すべてを諦めたような笑顔。
先に「大きな不安」が待ち受けているであろう言葉を、ところどころにこれでもかというくらい繰り出して、それを積み重ねていきます。
これをこのアニメ版では、ほとんど映像表現だけでまかなってました。降り続ける雪、非常に強い陰影、音楽、夜の風景。緊張感と不安感を孕む映像たち。原作においてモノローグの説明にて書かれた積み重なる不安を、アニメでは映像にて表現していました。
さらに原作においては、祐一と栞は幾度も「約束」を交わします。積み重ねる約束。
※追記:
「積み重ね」というよりも「繰り返し」かも。
話自体も、『祐一と栞の日常→栞の喪失』を二度繰り返しているし。
イマイチ僕のお脳が煮え切らないので分からないのですが、「似たような旋律を繰り返し少しづつ豊になってくのがkanon」みたいな解釈で取り敢えず保留。<追記ここまで>

そして一週間だけの、栞を普通の女の子として扱う期間。
私は戻ることができるんです。
楽しかった、あの頃に…。
元気だった、ただその日を精一杯生きていた、あの頃に。
先までの水面下の不安を孕ませたまま、栞との『普通の』日常を送るのです。そこに二回ほどあった、祐一の『普通』ではない対応。そこに見える不安。それでも、この日常は輝いているのです。
これはなんだろう。栞が死ぬから、日常が輝いてみえるのか。それともホントは日常ってのは輝いていて、ただそれに気づく機会がなかっただけなのか…。
そして1週間後、その日常は終焉を迎えます。
この日常に対する終焉、それを受け入れるのがプレイヤーでもある祐一、それを受け入れられなかったのが香里、そしてそれを、受け入れざるをえなかったのが栞。
(また、アニメ版ではカットされていますが、『ドラマ』ってキーワードも結構重要だと考えます。
栞がドラマ好きだってこと、
「だってお話の中でくらい、ハッピーエンドが見たいじゃないですか」
「俺はあまりドラマは見ないけど…でも今ここで、そんなありがちな場面を見てみたい」
など。そしてこの栞シナリオの物語も、とてもドラマみたいな偶然と奇跡のようなストーリー運び。これらに、この先の展開に対してこちら側がやんわりとした期待を持ってしまうのです。そしてこの栞がドラマが好きだってことや、いわくつきの人形を素敵だと思ったりするところに、栞がそういった『奇跡』のようなことが起きることを心の中で期待していることを思わせ、それでいて「起きないから奇跡」と否定してしまうところに、助かった時にしか「本当は死にたくなかった(多分ではなく)」と言えないところに、栞の『弱さ』を感じ取れるのです)
そして、「人と人との繋がり」。
再プレイしてわかったのですが、驚くほどにあゆや名雪が良い・優しいキャラクターになっています。
気を使ってくれる名雪。なんとか香里を助けたいと思ってる名雪とか、栞に振られてメシも食わずに学校に行く祐一に無理して付いてくる名雪とか、色々と思いを汲み取って祐一と一緒にいる名雪とか(アニメじゃあゆにそのシーン奪われてたけど)。
あゆは、この先の話のネタバレになるので反転にしますが、自分の為ではなく、栞の為に奇跡の力を使うこと。姉妹が一緒にお昼ご飯を食べるという悲しい夢を、悲しくないものにするために、自分の為じゃなく栞の為に奇跡を使う。
そしてなにより、栞との最初の出会い。祐一とあゆの笑い顔は、それだけで栞を死から脱却させました。この祐一とあゆにとっては何でもない日常の一コマである出会いは、栞にとっては奇跡のようなモノでした。こんな些細なことが奇跡にもなる、そんな人と人との繋がり。
そして姉の香里も同じ様に、祐一によって脱却できました。この出会いもある意味、香里にとっては奇跡のようなものなのではないでしょうか。
(しかしこのアニメ版は、栞の誕生日に店内にいた関係のない客までが栞の誕生日を祝い、祐一の笑顔によって栞が救われたのと同じ様に、また香里も祐一の笑顔によって救われるという非常に良い作りでした)
(この辺てきとうに消しました)
些細な日常を積み重ねて、
人との出会いから、その日常がもっと素敵なモノになっていって、
それが本当に大切なモノだってことに気づいて、
けれどもそれはいつかは失われてしまうもので、
そしてその失われてしまうこと=死を受け入れるのはやっぱり大変で、
他人にすがらないと生きていけなくて、でもそのことを、その相手に認めてもらって。
たとえもうすぐ死ぬのであっても、人は人にすがらないと生きていけないからと、その相手に自分の『弱さ』をも受け入れてもらえて。
そして帰ってきた栞は、自分の全部の弱さも全てを告白するのです。そしてそれすらも受け入れてもらえる。
日常の素晴らしさと、人には人が必要だってことと、そして人々が持つ弱さ、さらにはそれらも、いつかは終わりを迎えるということ。なんつーか、めちゃくちゃ『人間』って感じですよ。それに加えて、弱さを許容して奇跡まで起こしてくれる世界。ああ、ここまでお膳立てされたら、なんかもう『賛歌』を後に付けたくなるじゃないですか。
(アニメ版の栞についてのアレコレは、色々と書いているので後ほど上げます。
この文も十分にポエミーですが、これ以上にとんでもなくポエミーなんで隔離上げです。)
http://bdkiss.blog54.fc2.com/blog-entry-240.html
↑これです。ポエミーに耐えられる方のみ。
え~と、なんの話してたのか忘れてきてしまった。
そうそう、これら栞シナリオを『絵』で表すというとんでもない試みを京アニはしていて、それは原作知ってて更にこのアニメを何回か見直せば大成功な試みなんだけど、原作知らないでアニメ一回だけ見た人的にはどうなんだろうかなぁというお話しでした。
栞シナリオの、『潜んでいる不安感』を、陰影やら雪やらの映像と音楽や構図などで表すという点については、もの凄くハイレベルな成功なんじゃないでしょうか。そして表情の超演技。
それと同時に、脚本の物足りなさも感じてしまいます。
勿論、『美坂姉妹の話』としてだけ見れば完全無欠の鉄壁な出来なのですが……恋愛を抜いた時点でどうしようもなくなる(栞が祐一といるのは好きだからなんですが、好きと言えない栞という、栞の勇気の問題なのか迷惑をかけたくないという問題なのか、どちらから見ても微妙に原作栞を改変していることになっている)と分かっていながらも、やはりどうしても物足りなさを感じてしまいます。栞についてが、あまりにも語られてなさすぎる消化不良感が。
いや、むしろこの感覚は、あの
……麻枝トリック!
(※麻枝トリック:ダーマエが持つ48のライター技の一つ。AIRの観鈴シナリオや、CLANNADの渚シナリオのように、一度中途半端な、消化不良な場面で「終わった」と見せかけて、後に真のシナリオが始まるという技)
そうです、栞シナリオが消化不良なのも、舞シナリオがあっさりしすぎなのも、全て麻枝トリックが発動しているからなのです!
この後すんごい後日談が語られるのです。
てゆうか、舞が病院にいて、多分栞も病院にいて、(以下原作バレ反転)あゆは当然病院にいて、名雪も秋子さんの事故で病院に行くという展開を考えると、病院全部を巻き込んだウルトラ奇跡が起こりそうな気がしません?このみんな病院に集まるっていう展開と、あゆが全ヒロインに会っているという複線は何処かで生かす気がします。
真琴は病院にいないけど、
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テーマ : Kanon~カノン~ - ジャンル : アニメ・コミック
はじめまして。
今回、栞がどうなるか心配でしたが、祐一と約束したことで『栞は帰って来る』と、実感しました。
次回予告で、祐一が名雪に「好きな奴がいるのか?」と訊いたのは、栞のことを『気になる異性』として、意識し始めたからでは?と思いました。
(栞EDの伏線?)
名雪が「本人は、気付いていないかも知れないけど。」の台詞の続きは、「あゆちゃんは、祐一のこと好きなんだよ。」でしょうか?
だとすると、名雪の心中は・・・。
次回のレビューも、楽しみにしています。
今回、栞がどうなるか心配でしたが、祐一と約束したことで『栞は帰って来る』と、実感しました。
次回予告で、祐一が名雪に「好きな奴がいるのか?」と訊いたのは、栞のことを『気になる異性』として、意識し始めたからでは?と思いました。
(栞EDの伏線?)
名雪が「本人は、気付いていないかも知れないけど。」の台詞の続きは、「あゆちゃんは、祐一のこと好きなんだよ。」でしょうか?
だとすると、名雪の心中は・・・。
次回のレビューも、楽しみにしています。
yukita | 2007年02月08日(木) 00:22 | URL | コメント編集
>yukitaさん
コメントありがとうございます。
え~と、原作知ってる方かそうでないかが分からないとお返事しにくいジレンマが……(笑)(たとえ知ってても、コメ欄でネタバレはマズイけど)。
さすがに栞EDは難しいと思いますけど、石原監督のお言葉(一応ネタバレ?反転にしています。公式サイトに載ってる言葉ですが)
「ちょっと悲しい展開もありますが、冬のあとには春がくるように、いつか必ずHappyEnd」
を信じれば、栞どころか皆帰ってきて大団円なんてオチもありえるかもしれません。まあそこまでいっちゃうと、原作を遥かに越えたちょっとやり過ぎな感じもしなくはないですけど。
名雪の心中に関しては、見てるコッチが不安いっぱいですね~。
もうホント、いつも怖いです。さすがにkanonで嫉妬の嵐とかは無いと思いますけど、それでもやっぱり毎週怖い。名雪さんがどうなるのか?って結構見所ですね。
>次回のレビューも、楽しみにしています。
ありがとうございます~。
ただもう、ホント最近はいっぱいいっぱいで書いてる感じなので、もしも次回がどうしょもない内容でもあんま呆れないで下さいね。(←さりげなく前言い訳)
コメントありがとうございます。
え~と、原作知ってる方かそうでないかが分からないとお返事しにくいジレンマが……(笑)(たとえ知ってても、コメ欄でネタバレはマズイけど)。
さすがに栞EDは難しいと思いますけど、石原監督のお言葉(一応ネタバレ?反転にしています。公式サイトに載ってる言葉ですが)
「ちょっと悲しい展開もありますが、冬のあとには春がくるように、いつか必ずHappyEnd」
を信じれば、栞どころか皆帰ってきて大団円なんてオチもありえるかもしれません。まあそこまでいっちゃうと、原作を遥かに越えたちょっとやり過ぎな感じもしなくはないですけど。
名雪の心中に関しては、見てるコッチが不安いっぱいですね~。
もうホント、いつも怖いです。さすがにkanonで嫉妬の嵐とかは無いと思いますけど、それでもやっぱり毎週怖い。名雪さんがどうなるのか?って結構見所ですね。
>次回のレビューも、楽しみにしています。
ありがとうございます~。
ただもう、ホント最近はいっぱいいっぱいで書いてる感じなので、もしも次回がどうしょもない内容でもあんま呆れないで下さいね。(←さりげなく前言い訳)
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