2007'03.21 (Wed) 04:09
(注:『AIR』の美凪シナリオのネタバレあります)
京アニkanon感想記事で二・三回引用してきましたが、『AIR』の「美凪シナリオ」にはこの京アニkanonのヒントになるようなセリフが結構あります。というか、美凪シナリオ自体がこの京アニkanonと結構近いです。
ですので今回、その辺をちょっと並べてみたいと思います。
美凪シナリオでは、彼女は言わば『夢』の中にいます。
元来存在していないはずの『みちる』と、元来親からそう呼ばれるはずの無い自分の名前『みちる』。傷付けない為の、傷つかない為のギリギリのバランス。こんな歪な関係性は当たり前ですが長くは持ちません。起こり得ないことが起きているということと、儚さ、無意味さ、そして現実からの逃避を併せ持ちえた表現での『夢』。
このみちるのいる生活がすなわち『夢』。そもそもみちるは存在しているはずのない存在なのですから、彼女が存在しているという時点で夢になってしまう。
それでも、その生活は美凪にとっては非常に満ち足りた幸福なモノ。だから、その夢を失いたくない、醒めたくない。
けれど夢はあくまで『夢』であって、現実ではない。いつかは終わりが来る。そしてそのことは美凪自身も分かっている。夢が醒めること。すなわちみちるを、今の生活を、幸せを失ってしまうことになります。が、それでも彼女はその『夢が醒める』ことを受け入れる。
みちるとの別れ、そしてそこから明日へと、先へと進んでいくことを受け入れる。
出会いと別れを幾度も繰り返して、それでも明日へと進んでいく。
この『夢』というのが、単純な逃避先にならずに、『そこから』新たな未来へと一歩を踏み出す為の『糧』になっています。出会いと別れを繰り返す人生。昨日の別れから強さを得て、一昨日の出会いから優しさを得る。そうやって自身の過去を自身の糧にして、それを持って明日へと歩んでいく。
みちるとの別れ、夢との別れを果たした美凪シナリオのラストは、幼い頃の美凪が勇気を出してみちるに話しかける、二人の出会いのシーンをバックにこう語られて終わります。
たった一言の、小さな勇気からはじまった幸せ。
でもその幸せは夢で、出会いがあれば別れがあって、いつかその出来事も過去の思い出になってしまう。
それでも。それを知った上で、いやそれを知ったからこそ、この上記の台詞を述べることが出来る。この強さが、これを得ることが、この物語。
飛べない翼は、こうしてまた『飛ぶこと』が出来る翼へと強くなったのです。
で、これはかなり今回の京アニkanonの『祐一』に近い感じだと思われます。美凪を祐一、みちるをあゆに置き換えてみると面白い。そしてその逆も、十分に面白い。夢を終わらせた二人。現実を受容し、夢を思い出へと還した。そして最後は、困難が待ち受けていようとも、踏み出す足先は明日へと向かっている。幸せを目指して。
とまあこんな感じで、AIR美凪シナリオには京アニkanonを読み解く為のセリフが結構あるんじゃないかなぁとかいう話でした。(そして今回で気づきましたが、keyのメインテーマ(テーマか?)って『強さ』なんじゃないでしょうか。麻枝さん『強さ』好きだし)
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京アニkanon感想記事で二・三回引用してきましたが、『AIR』の「美凪シナリオ」にはこの京アニkanonのヒントになるようなセリフが結構あります。というか、美凪シナリオ自体がこの京アニkanonと結構近いです。
ですので今回、その辺をちょっと並べてみたいと思います。
飛べない翼に、意味はあるのでしょうか。
【More】
美凪シナリオでは、彼女は言わば『夢』の中にいます。
元来存在していないはずの『みちる』と、元来親からそう呼ばれるはずの無い自分の名前『みちる』。傷付けない為の、傷つかない為のギリギリのバランス。こんな歪な関係性は当たり前ですが長くは持ちません。起こり得ないことが起きているということと、儚さ、無意味さ、そして現実からの逃避を併せ持ちえた表現での『夢』。
永遠ではない限り、いつかは訪れる別れ。
それは、この日常においても変わることがない。
別れと背中合わせの日常が目の前にあって、俺たちは毎日をその中で過ごしてる。
だとしたら・・・。
いつかは終わるとわかってる日常ならば・・・。
それは、いつかは覚める夢と、どれほどの違いがあるのだろう。
同じだ。
俺たちは、いつだって夢の中にいる。
夢も現も、何一つ変わりはない。
だからこそ・・・。
夢が終わるとき、その先にはいったい何があるのかは知りたいと思った。
「ニンゲンはね…思い出がないと生きていけないんだよ」
「…でもね……それなのに、思い出だけでは生きていけない」
「…夢はいつかは覚めないといけない」
「覚めることを忘れた夢は……それがどんなに幸せな夢であったとしても…いつかは悲しみにかわってしまうから」
「…それは……とてもさみしいことだから」
「とてもつらいことだから…」
だけど、夢はいつかは終わりを迎える。
いつかは覚めるものだから、夢は夢のままでいられる。
夢……。
幸せな幻想。
夢……。
望むこと。
夢……。
追いかけてやまないもの。
夢……。
この世界。
目が醒めれば、そこに残るものは…?
幸せに触れることができた満足感…?
失った幸せに対する虚無感…?
抱きしめ続けることが出来ないものは忘れてしまう…?
全てを…?
夢は思い出にならない…?
でも…。
みんな気づいてる。
みんな知っている。
…本当は、夢の終わりを望む人間なんていないことを……。
このみちるのいる生活がすなわち『夢』。そもそもみちるは存在しているはずのない存在なのですから、彼女が存在しているという時点で夢になってしまう。
それでも、その生活は美凪にとっては非常に満ち足りた幸福なモノ。だから、その夢を失いたくない、醒めたくない。
けれど夢はあくまで『夢』であって、現実ではない。いつかは終わりが来る。そしてそのことは美凪自身も分かっている。夢が醒めること。すなわちみちるを、今の生活を、幸せを失ってしまうことになります。が、それでも彼女はその『夢が醒める』ことを受け入れる。
決して醒めない夢の中にいることが出来たら、人は悲しむことなんてなくなるんだろう。
でも、前に進まないといけないから。
だから俺達は走った。
夢の終わりを受け入れるために。
みちるとの別れ、そしてそこから明日へと、先へと進んでいくことを受け入れる。
寂しいけれど…。
出会いと別れを繰り返していくことでしか…。
ひとは生きていけなくて…。
出会いと別れを幾度も繰り返して、それでも明日へと進んでいく。
振り返ることもあるけれど…。
迷いから、過ぎ去った昨日を懐かしむこともあるけれど…。
踏み出す足先は、いつも明日へ。
愛おしい過去の思い出を糧に、俺たちは明日を目指して…。
幸せを願うというのはそういうことだと思う。
この『夢』というのが、単純な逃避先にならずに、『そこから』新たな未来へと一歩を踏み出す為の『糧』になっています。出会いと別れを繰り返す人生。昨日の別れから強さを得て、一昨日の出会いから優しさを得る。そうやって自身の過去を自身の糧にして、それを持って明日へと歩んでいく。
みちるとの別れ、夢との別れを果たした美凪シナリオのラストは、幼い頃の美凪が勇気を出してみちるに話しかける、二人の出会いのシーンをバックにこう語られて終わります。
はじまりは、いつだって小さな勇気から。
たった一言の願いから、幸せははじまるのだから……。
たった一言の、小さな勇気からはじまった幸せ。
でもその幸せは夢で、出会いがあれば別れがあって、いつかその出来事も過去の思い出になってしまう。
それでも。それを知った上で、いやそれを知ったからこそ、この上記の台詞を述べることが出来る。この強さが、これを得ることが、この物語。
飛べない翼は、こうしてまた『飛ぶこと』が出来る翼へと強くなったのです。
で、これはかなり今回の京アニkanonの『祐一』に近い感じだと思われます。美凪を祐一、みちるをあゆに置き換えてみると面白い。そしてその逆も、十分に面白い。夢を終わらせた二人。現実を受容し、夢を思い出へと還した。そして最後は、困難が待ち受けていようとも、踏み出す足先は明日へと向かっている。幸せを目指して。
とまあこんな感じで、AIR美凪シナリオには京アニkanonを読み解く為のセリフが結構あるんじゃないかなぁとかいう話でした。(そして今回で気づきましたが、keyのメインテーマ(テーマか?)って『強さ』なんじゃないでしょうか。麻枝さん『強さ』好きだし)
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テーマ : Kanon~カノン~ - ジャンル : アニメ・コミック
こんにちは、自分の初鍵作品はAIRだったためAIRはかなり印象に残ってますし美凪については特にです
そういえばAIRの第一部は「夢」編でしたね
飛べない翼についてですが、実際美凪はまた飛び立てるようになりました(と思います)が、最後に国崎往人は飛べない翼にも意味はあるといっていますが、飛べなくなり歩くためには重荷にしかならないはずの翼もまた思い出になることで意味を成すということではないかと思います。
そして最後の最後に距離は縮めようと思えばすぐに縮められる、二人を隔てるものは空気しかないというようなこと(思い入れがあるといったわりにうろ覚えですみません)をいっているのですがここでの空気とはずばりAIRのことで、帰ってきたくなったらいつでもAIRの世界に帰ってきなさい、そしてその想い出を糧にまた歩き出しましょう、的なことであるといった考察を読み、なるほどなと思ったこともありますが、どうでしょう、そして美凪とみちるという名前の由来が美しい凪に満ちているようにということで、凪を、とまったままの時間つまり思い出であり永遠を意味するなら、それを美しいものとして母が願うという、「永遠肯定」的な要素になりうると思います。(強引かも)また「満ちる」が消えることで風がふく、永遠からの離脱というような隠喩(カモメさんももうすぐ風がふくとかいっていたし)もあるかもしれません
わりといろいろ理由付けしましたが結局なしおさんの記事を多重肯定しているだけということになっているとおもうので少し悔しいです(笑)
あと京アニKanonのヒントとしてのAIR美凪に対するコメントとしては不適切だったかもしれませんが大目に見てやってくださいm(_ _)m
そういえばAIRの第一部は「夢」編でしたね
飛べない翼についてですが、実際美凪はまた飛び立てるようになりました(と思います)が、最後に国崎往人は飛べない翼にも意味はあるといっていますが、飛べなくなり歩くためには重荷にしかならないはずの翼もまた思い出になることで意味を成すということではないかと思います。
そして最後の最後に距離は縮めようと思えばすぐに縮められる、二人を隔てるものは空気しかないというようなこと(思い入れがあるといったわりにうろ覚えですみません)をいっているのですがここでの空気とはずばりAIRのことで、帰ってきたくなったらいつでもAIRの世界に帰ってきなさい、そしてその想い出を糧にまた歩き出しましょう、的なことであるといった考察を読み、なるほどなと思ったこともありますが、どうでしょう、そして美凪とみちるという名前の由来が美しい凪に満ちているようにということで、凪を、とまったままの時間つまり思い出であり永遠を意味するなら、それを美しいものとして母が願うという、「永遠肯定」的な要素になりうると思います。(強引かも)また「満ちる」が消えることで風がふく、永遠からの離脱というような隠喩(カモメさんももうすぐ風がふくとかいっていたし)もあるかもしれません
わりといろいろ理由付けしましたが結局なしおさんの記事を多重肯定しているだけということになっているとおもうので少し悔しいです(笑)
あと京アニKanonのヒントとしてのAIR美凪に対するコメントとしては不適切だったかもしれませんが大目に見てやってくださいm(_ _)m
kou | 2007年03月22日(木) 01:32 | URL | コメント編集
>kouさん
コメントありがとうです。
やべえ、興味深すぎ!
>いつでもAIRの世界に帰ってきなさい
うぉヤッベエ、そうともとれる!
>「満ちる」が消えることで風がふく、永遠からの離脱というような隠喩
うぉすっげえ、そうともとれる!
いや~凄いです、超興味深いです。なるほど、そういう意味は確かにありそうですね。特に名前の方は超納得です。凪が満ちなくなるかぁ……。
>翼の話
そうですね。これは僕が勘違いしてました。彼女の翼が治った・強くなったのではなく、新しい翼を得たという事ですね、きっと。じゃないと思い出が微妙な存在になってしまいそう。
国崎往人についてスルーしていました(てゆうか忘れていましたw)が、彼の存在は京アニkanonで置き換えれば祐一とあゆ以外の(ほぼ)『全員』に近い感じっぽいです。彼がいたから強くなれた、夢から醒められた。つまり、繋がりや絆の顕現。
正直、美凪シナリオ最近やってないで書いてたりしてましたので、不適切なのはむしろ僕の方です。
その内時間が出来たら、再プレイしてまともに真摯なのを書いてみたいです、ってことで勘弁して下さい。
コメントありがとうです。
やべえ、興味深すぎ!
>いつでもAIRの世界に帰ってきなさい
うぉヤッベエ、そうともとれる!
>「満ちる」が消えることで風がふく、永遠からの離脱というような隠喩
うぉすっげえ、そうともとれる!
いや~凄いです、超興味深いです。なるほど、そういう意味は確かにありそうですね。特に名前の方は超納得です。凪が満ちなくなるかぁ……。
>翼の話
そうですね。これは僕が勘違いしてました。彼女の翼が治った・強くなったのではなく、新しい翼を得たという事ですね、きっと。じゃないと思い出が微妙な存在になってしまいそう。
国崎往人についてスルーしていました(てゆうか忘れていましたw)が、彼の存在は京アニkanonで置き換えれば祐一とあゆ以外の(ほぼ)『全員』に近い感じっぽいです。彼がいたから強くなれた、夢から醒められた。つまり、繋がりや絆の顕現。
正直、美凪シナリオ最近やってないで書いてたりしてましたので、不適切なのはむしろ僕の方です。
その内時間が出来たら、再プレイしてまともに真摯なのを書いてみたいです、ってことで勘弁して下さい。
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