2007'07.09 (Mon) 04:14

これは、運命と戦い続ける男の物語。
先週からの続き。
6日目を迎えた獣人たちの首都、テッペリンの攻略戦。残る四天王も撃破し、勢いに乗るシモンたち大グレン団。そこに「都」という形態を破戒し、遂にその全てを見せる、テッペリンの真の姿。
それは、顔。それは、とてつもなく大きな『ガンメン』。

今、男の前に、運命がその姿を現そうとしていた。
これまでの戦い。歩んだ道程。ラガンとの出会い。ドリル型の鍵との出会い。カミナ。ニア。螺旋王。
シモンを紡ぐ運命の全てが、今ここに、シモンの前に、顕現する!
やー、もうホント、今回は本当に最高だった!何も書かないで、このまま大事に仕舞っちゃってもいいんじゃないかな、という気分にもなるのですが、一応なんか書きます。あ、これからこのグレンラガン15話を見る、という方は、間違ってもこれ以上読まないで下さい。ホント、今回のは、ネタバレ知っちゃうと勿体無すぎるので。
【More】
■運命
――――――――――――――――――――――――――――――

運命と戦い続ける男、というけど、じゃあ『運命』ってなんなのさ?
『運命』とは、人の人生、これまで歩んできた道と、これから歩んでいく道、それらを支配する何か途方も知れない力ですね。
幸・不幸・喜び・悲しみなどをもたらす超越的な力(fromはてなダイアリー)。
幸・不幸・喜び・悲しみ。人の人生って、それら『出来事』と『感情』で作られています。ある出来事に自分の環境や位置が変化させられて、ある感情に自分の環境や位置が変化させられる。それにより、自分がこの先歩む道も変化していきます。
幾度も、幾度も。
繰り返させられる『出来事』と、湧き起こる『感情』。それが自分が歩んできた「道」を作り出していて、そして、これから歩んでいく「道」の方向を定めていくのです。
もしも。
それをコントロールする、何か、超越的な力があるのなら。
それら人の歩んできた道と、これから歩む道をコントロールする『ナニカ』が存在しているならば。それはもう、人の人生を支配する力、といって過言ではないでしょう。
では、果たして。シモンにとって、『運命』とは何なのか。
『運命』が、往く道と来た道を決定付けるモノならば。"最初の"運命といえるものは、いわば"因果の"はじまりの部分、といえるのではないでしょうか。
この世の物事は、全て因があって果がある。
どんなに無関係に見えるものでも、どんなに遠くに見えるものでも、そこには必ず<はじまり>があって―――そしてその<はじまり>からの道で得たモノによって、また新たな"因"が紡ぎ出される、つまり『運命』がさらに加速していく―――そしてシモンの、いやこの「グレンラガン」の<はじまり>といえば、行き着く所は一つ、『ドリル型の鍵を拾ったこと』。
その『ドリル型の鍵』を拾ったことによって、「ラガン」という運命に出会い、そこからカミナと地上に出るという運命を辿り、グレンラガンを作り出す運命に至り、カミナを失う運命に直面し、ニアに出会う運命の導きがあり、そして、ここ。テッペリンの戦いという、運命が、訪れた。
『運命』とは、歩んできた道により決まる、これから歩む道のことである。では、その道―――この場合なら、『ドリル型の鍵』を拾ったことからはじまる、上に書いたような、『グレンラガン』という運命の道―――その道の終着点は?
それが、此処。
全ては彼の鍵を拾ったことからはじまり、地上に出て、大事な仲間をやられて、困難も苦境も乗り越えて、歩んできた道は、その<はじまり>という因から連なる果によって、此処に導かれるのです。そしてだからこそ、この輪を閉じる最後の一手が、「コアドリル」でもあったわけです。
■信じる、ということ
――――――――――――――――――――――――――――――

運命とは言っても、別に神さまがそのような采配をなさっているからこうなっている、というものではありません。
もし神さまとか居たとしても、シモンたちには分からないのです、運命だなんて、そんな事。
明日死ぬかもしれないし、つうか今日死ぬかもしれない。
上手くいかないかもしれないし、大成功するかもしれない。
まったく先のことなんて分からないんです。
だから運命なんて無いんですよ。あるのは只の『因果』。因果の積み重ねが、回避不可能なベクトルを未来に結んでしまっているから、それが『運命』に見えてしまうだけなのです。
しかし、それと戦う。
ロージェノムに辿り着いてしまう運命は、彼の死を意味する運命であるのだけれど、しかし、それと戦う。運命と、戦う。何をもって戦うのか?
それが、作中で幾度も言われてきた、『信じること』です。
出来事と感情が作り出す運命という現象を、『信じる』という、現実の出来事も、時には自分の感情すらも排他してしまう絶対性をもって、駆逐するのです。
仲間が信じる、自分を信じる。
仲間を信じれるから、自分を信じれる。
自分が信じる、自分を信じる。


キタンたちが、螺旋王の相手をシモンに任せて、自分らは雑魚相手に奮闘したように。
ヨーコが、大グレンの爆発に心配するシモンにさっさと行けと言い、シモンがそれに応じたように。
パートナーのロシュウをシモンが信じ、そしてロシュウ自身も自分を信じたように。
ニアの全身全霊の「信じる」が、シモンに力を与えたかのように。
運命という世界の中での絶対さを、がむしゃら過ぎる「信じる」という自分の中での絶対さで、覆したのです。
なんでこうまでグレンラガンでは「信じる」という言葉がキーワードになって来たのか。「運命と戦い続ける男」にとって、それが必要だったからです。
この世界の『絶対』を突破する、自分の中の『絶対』。それが「信じる」ということ。つまり、無理を通して道理を蹴っ飛ばす、ということ。
それが―――運命と戦い続ける、手段だったのです。
■私は明日へ向かいます
――――――――――――――――――――――――――――――
ロージェノムが人間達を殺していた理由。現時点で正確な所は分かりませんが、「100万の猿が……」のセリフから察するに、地上にある一定以上の数の人間が増えてしまったら、月(?)からナニカがやってきて人類を滅ぼす―――だから、ロージェノムはあんなことしていたのだと、思われます。
このロージェノムの姿勢は、先に書いた『運命』でもあるんですね。
因果に縛れてしまうこと。それが、『運命』。
さて、ニア。
彼女は螺旋王の子として育ちました。そんな彼女は、ある日疑問を持ちました。「自分はなぜ生まれてきたのか」。シモンと会った彼女は、さらに疑問を持ちました。「ヒトとはいったい何なのか」。さらにカミナについて話すシモンやヨーコを見て、違う興味も持ちました。「みなさんのこと、もっと知りたい」。
彼女の道筋は、「知りたい」という願望からはじまっているものでした。
これは、ニアにとっての『運命』でもあるんですね。運命が、因果である限り。

その因果―――運命に縛られたまま逝ってしまったのが、ニアの父、螺旋王。
ソコに向けて、ニアは言います。「私は明日へ向かいます」、と。
「私は」と、わざわざ「は」を付けているように。因果に縛られて、『明日』へと向かえなかった父に対する決別の言葉であると同時に、自分が自分の『因果に縛られない』という意思表明でもあるんですね。全身全霊でシモンを信じたからこその、言葉。
「信じる」というのは、運命と戦う力。
シモンを信じ、『明日』―――まだ見ぬ世界、新しい世界、つまり過去の因に縛られない世界・すなわち『運命の外』―――に向かうということは、そうそのまま、今までの因を捨てて新しい世界に旅立つということなんです。
そしたら、その明日は、いともあっさりとやってきます。

名前のとおりなんです。
カミナは、『カミ=上』。
引っ張って行ってくれる存在であり、道標であり、いなくなっても存在は大きいまま。
シモンは、『シモ=下』。
穴掘りの名称どおり、掘って掘って、愚直なくらいに掘り進める。たとえ下でも、掘り続けてその『下』を突破した先には、たとえば今回のラストのように、EDの最後のカットのように、新世界が待っている。
ヨーコは、『横』。
カミナにもシモンにも、真に交わることは無い、横。援護することも見守ることも出来るけど、横だから、どうしても真に交わることは無い。
そしてニアは、『ニア=近く』。
シモンの近くにいれば、シモンは輝くし、ニア自身だって輝く。全身全霊で信じれば、近くにいる人は、きっとそれに答えてくれる。
ニアがシモンを信じることによって、シモンはその力を輝かせるけど、ニアにとっても、シモンを信じることで、明日へと向かうことが、そして本当に明日を迎えることが、出来たのです。
新世界。

前回、敵側が言っていたように。神が7日目で世界を作り出したように、大グレン団のメンバーもまた、7日目にして、今までの『因』を解き放つ、新たな世界を作り出したのです。
そして、その因を解き放つ新たな世界というのは、当然、ニアにとっても新たな世界。つまりは『明日』。ニアが向かう『明日』というのは、この日のことであり、そして、ここを因として<はじまる>新たな運命のことでもあるのです。
WEB拍手を送る
スポンサーサイト
テーマ : 天元突破グレンラガン - ジャンル : アニメ・コミック
この記事のトラックバックURL
→http://bdkiss.blog54.fc2.com/tb.php/375-f40f0ee0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
【螺旋王】天元突破グレンラガン15話「私は明日に向かいます」【シモン】
8話(カミナ死亡回)に続くガイナックス総力結集回。螺旋王とシモンの決着につけるに相応しい素晴らしい回だった。前半から後半まで最終回テンション。決戦に次ぐ大決戦!前半から画面狭しと敵・味方がこってり動き回
2007/07/09(月) 06:09:41 | 失われた何か
(*゚ω゚);';,*'.+螺旋王、生身の方が強くね?w 筋肉質なのは伊達じゃなかったようでw戦闘中にラゼンガンから降りてラガンと生身でやりあってラガンの腕を圧し折るほどの力を披露( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \
2007/07/09(月) 07:37:49 | 欲望の赴くままに…。
レビュー・評価:天元突破グレンラガン/第15話「私は明日へ向かいます」
品質評価 0 / 萌え評価 0 / 燃え評価 0 / ギャグ評価 0 / シリアス評価 0 / お色気評価 0 / 総合評価 0レビュー数 0 件 シモンたちの前で、崩壊を始めるテッペリン。その正体は都市そのものが巨大なガンメンだった! 大グレン団の面々が呆然とする中、引き寄せられるように天
2007/07/09(月) 10:38:04 | ANIMA-LIGHT:アニメ・マンガ・ライトノベルのレビュー検索エンジン
「7日目の攻防、決戦の時…螺旋王ロージェノムとの最終決戦!!」「天元突破グレンラガン第14話私は明日へ向かいます」「これで第二部完結!!」「螺旋の力は無敵ですよ~っ♪」「オープニングもなしで初っ端から王都、テッペリンの巨大ガンメンとの激突で熱い展開全開」...
2007/07/09(月) 11:54:42 | 翔太FACTORY+Zwei
天元突破グレンラガン 現時点での評価:3.5~ [ロボット ドリル] テレビ東京系 : 04/01 08:30~ 監督 : 今石洋之 シリーズ構成 : 中島かずき キャラデザ : 錦織敦史 メカデザ : 吉成曜 アニメ制作 : GAINAX 全26話 ....
2007/07/09(月) 17:08:46 | アニメって本当に面白いですね。
天元突破グレンラガン 現時点での評価:3.5~ [ロボット ドリル] テレビ東京系 : 04/01 08:30~ 監督 : 今石洋之 シリーズ構成 : 中島かずき キャラデザ : 錦織敦史 メカデザ : 吉成曜 アニメ制作 : GAINAX 全26話 ....
2007/07/09(月) 17:09:07 | アニメって本当に面白いですね。
『シモンたちの前で、崩壊を始めるテッペリン。その正体は都市そのものが巨大なガンメンだった! 大グレン団の面々が呆然とする中、引き寄せられるように天空へ向かうグレンラガン。雲海を越えるほどの上空にしつらえられた
2007/07/09(月) 17:10:42 | Spare Time
観る前にtwitterでfollowしてる人が最終回乙とか総集編って言い切ったとか書いてて軽いネタバレをしてしまってまいった。いつもリアルタイムで観てないんだよな…。これから気をつけよう。あと1回で螺旋王との戦い終わら
2007/07/09(月) 17:47:40 | 蒼碧白闇
天元突破 グレンラガン 第15話 「私は明日へ向かいます」観賞~^^
王都テッペリンが崩れだして現した真の姿はガンメン!!螺旋王ロージェノムとの最終決戦\(^O^)/第15話を観賞しました~^^
2007/07/10(火) 01:38:17 | まごプログレッシブ:Part2~Scenes From A Memory~
いまさらながら話題のグレンラガン第15話見ました。すごかった。シモンかっこいいぜ!!螺旋王の「ならばワシは、全力でお前をつぶそう!」ってのにもマジ燃えた!!スタッフ的にも作監にすしお、原画に馬越嘉彦、細田直人、森久司、今石洋之、吉成耀など俺でも知っ....
2007/07/10(火) 04:43:07 | media*ARENA
(アニメ感想) 天元突破グレンラガン 第15話 「私は明日へ向かいます」
空色デイズ(グレンラガン盤)崩壊が始まったテッフヘリン。そして、それは姿を現した・・・。その正体は、都市そのものが巨大なガンメンてあった。シモン達の前に現れる無数のガンメン・・・今、最後の戦いが始まる・・・。
2007/07/10(火) 07:13:19 | ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人
ついにひとつのクライマックスを迎える「グレンラガン」です。いやあ、もうヤバイ。良すぎてヤバイ。なので、ガッツリいきます。…長いですよー(汗)。残すは王都テッペリンと螺旋王。ってOP無しでいきなり本編。こういう流れは燃えてきますね☆テッペリンが崩れて現れた
2007/07/10(火) 21:43:36 | LAND OF RARITIES~旗次郎のマイペーストーク
もう、この番組、これで最終回でいいんじゃね?よしっ!久々当初の使い方通りの見出しが出来たっ♪3週ぶりのグレンラガンの感想です。その間、物語はえらいスピードで展開してくれやがりました。残る四天王を全員ブ
2007/07/12(木) 01:32:26 | 中濃甘口 Second Dining
| BLOGTOP |