2007'07.16 (Mon) 03:01

さてさて、京アニのオリジナル作品「MUNTO」。
失敗だの駄作だの黒歴史だのという風評は、よく耳にします。
しかしね、これ……めちゃくちゃいいですよ、ぼくとしては。
ということで、出来れば色んな人に見てもらいたいところですので、あまり「MUNTO」のネタバレせずに書いてみます。
【More】
恐らくMUNTOに対するよろしくない評価は、ストーリー、というか「あらすじ」から来ているものが一番だと思われます。
公式サイトのあらすじを見てもらえば解るのですが、少しネタバレ感があるあらすじですので、ぼくなりに直したものを。
ユメミは普通の家庭に生まれ、普通の家庭に育った、どこにでもいるような13歳の中学生の女の子。ただ彼女にはひとつだけ、子供の頃から他の人と違うところがありました。それは空の向こうに『浮き島』が見える、ということ。
ある日、その浮き島―――天上世界、そこの住人である魔導国の王ムントがユメミの前に現れて、彼女に「力を貸せ」と言います。彼いわく、天上世界とユメミのいる世界、その二つの世界を救えるのは、『ユメミ』だけなのだと。
はたしてユメミには、みんなの未来が守れるのか!?
このあらすじは、別にわざとつまらなそうに書いたとか、わざと痛い感じに書いたとか、そういうのまったくありません。全然恣意的じゃなくて、素でコレです。
さすがに、このあらすじ(もちろん公式サイトの方でも構わないけど)読んだだけだと、あまり良い評価は出来ないんじゃないでしょうか。あまりにも直球ベタベタというか、一歩間違えれば中二病なくらいに「セカイ系」にすぎるあらすじ(ただ、DVDに付随するブックレットに載っていた「本作のテーマ」を読むと、この直球っぷりにも理解を示せるかも)。

しかしそんな「あらすじ」から生じる物語を、一級のものにしてしまうのが京アニの魅力。
ユメミの中で生じている問題、天上世界で生じている問題、現実世界で生じている問題を構造的にリンクさせ、交互にかつ同時に提示していく。少しだけネタバレさせて頂くと、『アクト』の意味と、アクトの循環、そしてDVDに付随してきたブックレットに載っていた本作のテーマ。
テーマを作品中、幾重にも隠喩して、それを互いに相乗させて提示する。この『元となるもの』を、上手にそして深く表現するこの構造と構成、これこそが、京アニが今の地位を築いたきっかけでもある『原作モノを上手く作れる』に繋がっているのではないでしょうか。
また京アニの魅力の一つとして挙げられるのは、やはり『絵』でしょう。
これに関しては全く問題ない高クオリティ。
いわゆる作画が優れているのは言うまでもないですが、それよりも、やはり構図や見せ方が非常に優れています。

冒頭の、このシーン。ここでのちょっとした台詞と、雨があがっているのに傘を差すという行動だけで、ユメミの空の浮き島に対する思いが端的に表されています。
他にも、ある人物について調べている時の様子とか、ムントが世界の表裏一体を語る部分とか、またあのラスト直前のシーンとか、一々言葉を並べたり、くどく説明するのではなく、「絵で語る」という見せ方を行っています。
この「絵で語る」ということが出来る構図や見せ方を作り出すのが非常に上手い。絵は説明以上に物を言う。自分がハルヒなんかに惹かれたのも、けっこうこういう理由だったりします。何気ない絵・シーンに隠された感情や隠喩が、何処までも自分の中の作品を深くしてくれるのです。
なお続編「MUNTO 時の壁を越えて」になると、絵はさらにパワーアップしており、戦闘シーンなんかの格好良さにはかなりシビレます。「MUNTO」は無いけど続編は置いてある、なんていうレンタル屋は結構あるらしいので、興味が湧いた方は続編から入ってみるのもアリかもしれません(前作のダイジェストも収録されていますし)。
WEB拍手を送る
あと音楽がかなり良かったんですけど、ぼくの手には余りすぎるので省略。「ハルヒ」も「らき☆すた」もそうなんですけど、ただ音楽を流すだけじゃなくて、流す場面やタイミングを相当よくよく考えて行っていると思えます。
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思ったんだよ…
なんで最後の『奇跡の欠片を抱きしめて』が訛っていたのか、と。
軌跡の欠片?輝石の欠片? にしたのだろうか?京アニ。
なんで最後の『奇跡の欠片を抱きしめて』が訛っていたのか、と。
軌跡の欠片?輝石の欠片? にしたのだろうか?京アニ。
1 | 2007年07月17日(火) 06:37 | URL | コメント編集
なんか地味なんだよね。
狙うべきターゲットが見えてこないっていうか。
マーケティングが下手だったってことかな。
狙うべきターゲットが見えてこないっていうか。
マーケティングが下手だったってことかな。
| 2007年07月18日(水) 06:01 | URL | コメント編集
>1さん
「kanon」の話?
あんまりにもどうにも取れすぎちゃうので、多分どう解釈しても良い、ということだと思いますよ。
>名無しさん
まあ京アニプロジェクト自体が、「何にも縛られずクリエイターが作りたいものを作りたいように作る」というマーケティング何それ?なものですので、仕方ないですw
「kanon」の話?
あんまりにもどうにも取れすぎちゃうので、多分どう解釈しても良い、ということだと思いますよ。
>名無しさん
まあ京アニプロジェクト自体が、「何にも縛られずクリエイターが作りたいものを作りたいように作る」というマーケティング何それ?なものですので、仕方ないですw
これは中学生の時に見たら面白かったな。
作画という点では、雨降った後の地面の表現なんかもおかしかった。
鏡みたいに写り過ぎているし、歩いても波紋起きないし。
しかし背景は素晴らしい。
あと、主人公母がキッチンに立っているシーンなど実に良い。
作画という点では、雨降った後の地面の表現なんかもおかしかった。
鏡みたいに写り過ぎているし、歩いても波紋起きないし。
しかし背景は素晴らしい。
あと、主人公母がキッチンに立っているシーンなど実に良い。
ミル | 2008年08月10日(日) 00:38 | URL | コメント編集
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