2007'09.03 (Mon) 04:09

「宝物だと思っていたモノが、ただのガラクタだと分かる。それもシンカなのでしょうか」
『シンカ』という言葉。
これまでのロシウが歩んできた・選んできた道。
ムガン・アンチスパイラルの襲撃に対し、ロシウが選択してきた道のことです。
それは『宝物』……とまでは言わなくても、ロシウにとっては自分自身がそれと信じた・それを貫いた、何ものにも替え難い道・選択であったでしょう。
次々と策を打ち破られる絶望を前にしても、目前の脅威を打破するシモンの活躍を見ても、ロシウの考えは一分たりとも変わらない。最後の最後、カテドラル・テラにギガコアドリルを差し込むだけという状況に至っても、「1分で退却」と言うように。
「お前の意思、ブレはねえな」とキタンに称されたように、ロシウのその意思には、最後までブレはありません。このブレの無さは、ロシウが自身の決断を「信じていた」からでもあるでしょう。己の決断を、己の道を信じていなければ、当然ですけどブレは生じる。ブレなく、自分の決断を・自分の道を押し通すということは……その押し通して作った道に乗れなかった人たち(たとえば、地下シェルターに逃れた人を見殺しにすること、とか)を犠牲にするということでもあり、そしてその『犠牲』を自分自身が・自分が作り出した道が真摯に受け止めるということでもあり……だからこそ、「ブレがない」決断・道というのは、自分自身がその決断・道に対して「信じている」ということでもあるのです。
【More】
しかし、実際には。
その決断、その道は、間違っていた。
自分が信じていた決断は、現状を打破する力なくて、自分が信じていた道は、最善の道には程遠かった。
「宝物だと思っていたモノが、ただのガラクタだと分かる。それも真価なのでしょうか」
大切な、絶対に譲れない道だったはずなのに。実際に譲っていなかったのに。その道は誤りである、目的から逆算すればまさに……ガラクタだったと、気付く。
でも、気付くということは。
「成長している」ということでもあります。
外から来た者が、宝物であった聖典のくだらなさ、その真価を司祭さまに気付かせたように。もしロシウが、ずっとあの道を、あの決断を続けていたら決して気付けなかったこと。一時は自分が信じてきたこと、その真の価値がガラクタだったとしても、その真の価値に気付けたということは。それは「成長している」ということではないでしょうか。
「宝物だと思っていたモノが、ただのガラクタだと分かる。それも進化なのでしょうか」
聖典のように。信じてきた決断や道のように。
自分の中で確固として存在した指針を「ガラクタ」と言ってのけることが出来るということ、それはまさに、成長――進化なのではないでしょうか。
「だから人間は面白い」のですよ。

己の決断を・道を。その失敗をその犠牲者を。その過ちをその取り返しの尽かなさを。それらを全て知ってしまったからこそ―――信じていた決断も道も「ガラクタ」になってしまったからこそ、ロシウは自殺――己の責任を取らなくてはならない、そう考えてしまう。
絶対に、かつての、少し前までのロシウなら考えないことですよ。自分の決断が・道が間違いだと「気付かなければ」「至らない」。「成長したからこそ」「自殺に至る」のです。
自殺ってのは簡単には出来ません。如何なる理由であろうとも、如何なる状況の影響を受けようとも、少なくとも、「その理由」が「確固として(あくまでも己の尺度内で)」存在している必要があるのです。
ムガン・アンチスパイラルに対抗する為に選んだ、ロシウの決断と道――その確固たるものが「ガラクタ」だと、成長して知ったのですが、その所為で、「責任を取って自害」という新たな道を、確固として確立してしまったのです。
……が!
シモンがロシウを殴り、また新たな道がロシウの前に出来上がる!
もう、だから人間は面白い!

「人はみんな、間違いを犯す。……当たり前だ」
「でもな」
「間違えたら誰かに、ぶん殴られりゃいいんだ」
「自分で、自分を罰する必要なんてないんだ」
「その時は、やり直せない間違いだと思うかも知れない」
「それでも、足掻いて足掻いてジタバタしてれば、少し前に進んでる」
ムガン・アンチスパイラルに対抗する為に、ロシウが選んだ道。ロシウがした決断。
それは、端的に言うと……間違っていた。
最善では無かった。次善でも無かったかもしれない。多くの人を見捨てて、多くの人を犠牲にして、そして残った者……それすらも、守れるかどうか定かではない道。
それは、その最中には、譲れない絶対のものだと信じて、突っ走ってきたけれど。
終わってみれば。今になってみれば。成長して、真価が分かるようになってみれば。
今までの決断も、今までの道も、なんてことはない、ただの『ガラクタ』みたいなものだった。
そして、それを知ってしまったから……自らの決断と自らの道に対して、自身で責任を取るという「決断」をしてしまったロシウ。つまり「自害する」という道。
だがしかし、その道も、また新たな道に駆逐される!
シモンに出来ないことをやる、守りたいものを守る道を歩む。
成長して過去の道の価値が無くなり、新たな道を見つけ。
その道もまた価値の無いモノだということを、成長して知る!人の大切さも、自分の大切さも知り、それが新たなロシウの道と、決断となる。
いくらでも成長するしいくらでも進化する。幾らでも道を否定するし幾らでも新たな道を作り出す。このロシウの成長こそが、螺旋族の正にそれであり、そしてこれこそが、「人間の面白さ」じゃあないですか!
色々な説明に「よく分からん」という顔をし、「気合い」という言葉に納得する、その姿はひどく正しいのですよ。その説明は現象の理論や理屈であって、この現象自体は理論や理屈を知っていなくても「起こせる」ものなんですから。螺旋族の果てのない成長、そのメカニズムがどんなものであるのかなんて、彼らにとっては二の次、三の次なんです。なんせこのロシウのように、いやシモンや他のキャラ達のように、必死で足掻いて頑張ってジタバタしていれば「自然に」そうなるのですから、当の本人達にはそんな理論や理屈は用なしなのです。
逆に言うと、彼らがそういう生き物……『螺旋族』だということを、これ以上なく表しているとも言えます。
どんどんどんどん変わっていき、際限なく成長していく。足掻いてジタバタしていたら、そうなってしまう。このロシウのように。今までのシモンらのように。幾らでも道を作り出して、何度でも道を作り出して、何処までも成長して進化していく。そここそが、人間の面白さ、螺旋族の面白さ、なんじゃないでしょうか。
自信と気迫に満ちるキタン。
迷いと信頼に満ちるダヤッカ。
信じられ任せられるロシウ。
信じて任せるココ爺。
みんな、それぞれの意思を、それぞれの理由を、それぞれの葛藤を、それぞれの迷いを、それぞれの不安を、それぞれの信頼を持っていて。
それらは皆一緒ではなく、交わることも無いのに。
決して交わることのない者同士、決して交わることのない道同士が、相克するように、螺旋を描くように、ひとつの目的に向かって進んでいく。

そのみんなが集って来ているこの超銀河大グレンが、この一連の流れが、もう……!
違うのに、みんな違う人間なのに、心の内はみんな違うのに、目的も大体同じで少しづつ違うかもしれないのに……。その違うという道同士が、相克している。
ああもう、この一連の流れが素晴らしすぎて素晴らしすぎて、言葉もないぐらいでございます。
もう、彼らの道は、彼らの成長は、何処まで際限無くて何処まで続いていくのか!どんどんと第1話冒頭に繋がっていく物語に、さらに期待をせざるを得ません。
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タグ : アニメアニメレビュー天元突破グレンラガン
ロシウの独白シーンで気がついたというか思い出しました。あの発言はやっぱり本心ですね恐らく。
ヨーコは仲間だし、相対的にみても生き残るべき人だと判断したのでしょうね。
内容的には今回で第3部完という感じでしたね。
なんか見てて涙が滲んできます。やばいコレ(笑)
個人的に4話「も」残ってるという感覚ですが、誰も死なない事を祈るばかり。どうなることか(ビクビク
しかしあの聖典、本当にガラクタなのか疑問です。
表紙ひっくり返すとムガンになるようだし、御神体ガンメンの裏の大空洞が気になります。
グレンラガン2号機来るか!
ヨーコは仲間だし、相対的にみても生き残るべき人だと判断したのでしょうね。
内容的には今回で第3部完という感じでしたね。
なんか見てて涙が滲んできます。やばいコレ(笑)
個人的に4話「も」残ってるという感覚ですが、誰も死なない事を祈るばかり。どうなることか(ビクビク
しかしあの聖典、本当にガラクタなのか疑問です。
表紙ひっくり返すとムガンになるようだし、御神体ガンメンの裏の大空洞が気になります。
グレンラガン2号機来るか!
無銘 | 2007年09月04日(火) 23:25 | URL | コメント編集
>無銘さん
どうもこんばんわです。
ロシウの発言、一時の心の迷いとか、魔が差したとか、そういった類では無いようですね。少しくらいは揺らいだのかもしれませんが、それでもやっぱり、自覚的な発言で……だからこそ、全てが自分の意思で決めたことだからこそ、自殺を選んだのでしょうね。
>誰も死なない事を祈るばかり。
なんか次回予告で見る分だけでも、誰か死んでそうな勢いで戦っておりまして、そこがヤバイ(笑)
あと4話もあるのに、もう最終決戦場(の近く)で、果たして何人が生き残れるのか!という不安が非常に大きいですね。
>表紙ひっくり返すとムガンになるようだし、御神体ガンメンの裏の大空洞が気になります。
>グレンラガン2号機来るか!
おお、そうなんですか!何かアリそうですね。
グレンラガン2号機か……たしかに、このアニメなら、こんな終わり間際に2号機とか出てきても何もおかしくないですし、アリえそうではありますね。
どうもこんばんわです。
ロシウの発言、一時の心の迷いとか、魔が差したとか、そういった類では無いようですね。少しくらいは揺らいだのかもしれませんが、それでもやっぱり、自覚的な発言で……だからこそ、全てが自分の意思で決めたことだからこそ、自殺を選んだのでしょうね。
>誰も死なない事を祈るばかり。
なんか次回予告で見る分だけでも、誰か死んでそうな勢いで戦っておりまして、そこがヤバイ(笑)
あと4話もあるのに、もう最終決戦場(の近く)で、果たして何人が生き残れるのか!という不安が非常に大きいですね。
>表紙ひっくり返すとムガンになるようだし、御神体ガンメンの裏の大空洞が気になります。
>グレンラガン2号機来るか!
おお、そうなんですか!何かアリそうですね。
グレンラガン2号機か……たしかに、このアニメなら、こんな終わり間際に2号機とか出てきても何もおかしくないですし、アリえそうではありますね。
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「ふぇぇぇぇっ!?」「二重の極み!!」「・・・・・・・・」「なな、ちょっとロシウが可哀想なGIFじゃないですか」「気にしない気にしない…」「今回のロシウの見せ場なんだし」「…天元突破グレンラガン第23話行くぞ最後の戦いだ」「螺旋力で空間転移したり何でもあり...
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