2007'09.16 (Sun) 00:53
さて、『らき☆すた』も、もうすぐ終わってしまいます。
もうすぐ終わるとはいえ大きな事件や出来事が特にはない『らき☆すた』の本編に比べ、このアニメ『らき☆すた』内の1コーナー、『らっきー☆ちゃんねる』はただ今、かなり大事な流れになっています。
ということで、『らっきー☆ちゃんねる』について、振り返ってみようかと思います。
(あくまでもアニメのみの話であって、ラジオの『らっきー☆ちゃんねる』に関してはノータッチの内容になっております)
■白石みのる
――――――――――――――――――――――――――――――――

「白石っす」
「あ、えーと、あきら様のアシスタントを勤めさせていただきます、白石みのるです。どうもっす」
「あれれ~。白石さん堅いですよ~。ほ~ら、折角テレビに出られたのだから、もっとはっちゃけたまえ!なんちって」
「すんません、慣れなくて」
『らき☆すた』本編終了後、唐突に始まったコーナー『らっきー☆ちゃんねる』。パーソナリティである『小神あきら』と、アシスタントである『白石みのる』の二人によって構成されています。
今見返してみると、この頃の白石みのるは、あきらが言っているように「堅く」「緊張して」いて、それゆえに視聴者から送られてきた(という設定の)ハガキを読み上げるなど、真面目にアシスタントをこなしています(逆、真面目にアシスタントをこなそうとしているからこそ「堅く」「緊張して」いるのかも)。
もともと『らっきー☆ちゃんねる』はラジオ番組としてアニメ放送開始前から行われており、そのラジオ番組の内実もアニメ版の『らっきー☆ちゃんねる』と関係性が高いものではありますが、大半の視聴者はこのアニメで『らっきー☆ちゃんねる』を初体験するであろうということを見越してか、ラジオ版『らっきー☆ちゃんねる』を聞いていなくても(存在すら知らなくても)十分に分かるように、疎外感を生じさせぬように作られています。
だからか、ここでの白石とあきらが、まだそんなに仲が深くない、知り合って間もない関係に見えるようになっています。
実際は、ラジオ版の方ではもう少し関係が深くなっていても、それをあまり表出させることなく、また、ラジオ版の話題をあまり出すことがない、また出たとしても、たとえそれを知らなくても、問題なく見れるようになっているように。ラジオ版『らっきー☆ちゃんねる』の出張版というより、このアニメ内でひとつのコンテンツとして(アニメのみを見るならば)かなり独立されている作りです。
それゆえに、『らき☆ちゃん』の序盤においては、白石の色々な意味での初々しさ――テレビ慣れ・番組慣れや、この仕事での役割への初々しさ――などが、よく表れている様な作りになっています。
・ギャラの話を振られて、あきらの素が出て軽く黒くなり(今思うと、本当に軽い)、白石がそれを諌めようとおろおろする感じ。
・そして音楽が切り替わり、あきらが役のあきらに戻ると、白石が「フー」と胸をなでおろす。
『アシスタント』という自分本来の役割、あくまであきらを立てて支援する、そういった役回りを(あきらに振り回されながらも)こなしています。
第2回の『らき☆ちゃん』においても、白石が本編に出演していることに、あきらが執拗に絡んできますが、白石が反抗するといった感じはなく、あきらに従うというか付き合ってるような対応を見せています。
そう、この頃はまだ、白石もアシスタントとしての職務を彼なりにまっとうしており、あきら:メイン・白石:アシスタントという形の番組が成り立っていたのです。(まだあきらの白石に対する呼び名も「白石さん」でした)

それが徐々に崩れていきます。
かがみツンデレ議論の時も、一人喋り続ける白石。
あきらの発言に被って入ったり(第4回)、あきらの寒いギャグに「さぶっ!」と反応してしまったり(第6回)。
第8回、フリップ逆さま"わざと"にツッコミを入れ、テロップ剥がれない(わざとじゃない?)にツッコミを入れなかったり。
あきらの振りに対し、話を膨らませる気がないかのような返答や、「ふんどし締めなおして」などの空気読めなさすぎの発言。
『アシスタント』として入った白石ですが、フォローする・盛り立てるといった役目から逸脱して、自分一人熱く喋り出したり、(あきらの)空気を読めてない行動をしたり、面白くも無い発言をしてしまったり。殆どロクに、フォロー・盛り立てるという役割を果たせていませんでした。
「いつもいつも僕が僕がって、そういうのを自意識過剰っていうのよすっこんでりゃいいのよ白石のクセにあぁクチが腐る」(第14回)
ですが、これらは重要ではありますが、見方によっては些末なことでもあります。白石がアシスタントの役割を十分に果たしていない、そこに『らっきー☆ちゃんねる』の面白さがある、という見方も出来ます。
勿論そこには、この『らっきー☆ちゃんねる』がこうなってしまったように、アシストしていないアシスタントであるという歪さが、崩壊の因子として深く存在してしまうのですが。
『らっきー☆ちゃんねる』が崩壊した原因。
白石の行動があきらの望むものでは無かったというのが要因であるのですが、一番の要因は恐らく、白石がこの『らっきー☆ちゃんねる』に対して『真剣』では無かったということでしょう。
19話にて「みのる大自然ツアー」が決定したのですが、それは幕が降りた後に「追い出す口実」といっていたように、正に白石を厄介払いにする為のものでした。
その直前の第18回。白石は番組そっちのけで、収録中に携帯メールを打ってました。
もちろん、その件だけが原因というわけではありません。ただ、白石のこういった真剣でない姿勢は、長いことやってても全然あきらと呼吸が合っていないところ、話を膨らませられないところ、空気読んでないこと言っちゃうところ、にも少しづつ表れているのではないでしょうか。真剣に、番組を盛り立てようというならば、自分が言いたいことを押し黙ってでもアシスタントに徹さなければならない時もある。面白くするために、盛り上げる為には、自分を犠牲にしなければならない時もある。
第6回。オタクの話題が出たときに、「何か言わなくちゃ俺」で適当に何か言っちゃう(ありえなく古いオタク像)白石。
「ちゃんと勉強してんの!?」と返すあきら。
こういった、僅かばかりの『真剣でない』の積み重ねが、アシスタントなのに補助していないという現状と相まって、『らっきー☆ちゃんねる』を崩していってしまったのです。
「あきら様のアシスタントを、今日もしっかり勤めさせていただく、白石みのるでございま~す」
(第18回冒頭の挨拶。番組収録そっちのけで携帯メールを打ちまくる回のこと)
■小神あきら
――――――――――――――――――――――――――――――――


「白石さんはどうですか?もう慣れました?」
「いやぁ…まだ、まぁ……すんません」
「うーん、なんかまだ白石さんがあきらに心を開いていない気がするんですよね。いつもより離れて座っている気がするし。これって心の距離なのかなって。くすん……」
「うわぁわぁ。そ、そんなことないですって」
白石近づく。あきら離れる。
(第3回)
先にも書いたように、最初期の白石とあきらの関係はまだそれなりに普通でした。あきらからすれば、コイツはどんなものかと探りを入れている状態、といえるでしょう。
ただ、白石が初っ端の第2話で本編に登場してしまったことにより、あきらの白石に対する印象に、早々に「嫉妬」「敵愾心」が入り込んでしまいました。
それにより、第2回での演技指導の名を借りたグチや、第3回でのイジリ(↑のもの)のように、白石に対する接し方の方向性がある程度決定付けられました。最初は「アシスタントのおにーさん」と言っていた白石へのあきらの態度は、こういった『イジリ』の方向に確定されてきたのです。
そしてそのイジリは、上記したように白石の空気読めなさ、あきらの要求の応えられなさによって、段々と『イビリ』に進化していってしまったのです。
勿論、そこにあるのは白石の非だけではありません。
あきらの異常なまでの本編進出への執念。
本編に出たいという意欲、次第に自分を応援してという気持ちが行き過ぎてしまい、自分は如何に素晴らしいか、自分を応援するべきなのだということを熱く力説してしまうあきら。この思いは次第に暴走していき、特に中盤以降は、なんとしても自分に応援のお便りを送れ!とか、自分のライブイベントはいつだ!?しか興味なくそれ以外の話は本気で無視したりとか、恐ろしいほどにやりたい放題。『番組する気ないだろ』と言いたくなるほどの熱の入りようでした。
先に白石に、この『らっきー☆ちゃんねる』に対して真剣ではない、と書きましたが、あきらもまた、この『らっきー☆ちゃんねる』に対して真剣ではなかったのです。
この『らっきー☆ちゃんねる』に対して、十分に、全力で、本編出演など気にせずに全力投球していたわけではなかった。
もちろんこれは……あきらの立場からすれば、白石がフォローも話膨らませることも出来ず、それでいて自分が先んじて本編に出てしまうようなアシスタントだったから、あきらもこうなってしまった、とも言えて。
白石の立場からすれば、あきらが己のアピールばかりしまくっていて、自分に対するあきらの対応も日増しにキツク当るようになっていて、わがままばかりで盛り立てなくちゃいけないから、白石もこうなってしまった、とも言えます。
しかし、こういった諸所の歪みが、『らっきー☆ちゃんねる』を崩壊へと導いたのです。
■『らっきー☆ちゃんねる』の崩壊と、もう一度だけ『らっきー☆ちゃんねる』
――――――――――――――――――――――――――――――――


第21回。
水を汲んで樹海から戻ってきた、満身創痍の白石。彼が差し出した水を飲んだあきらは、一口して「こんなもんヌルイもの飲めるかぁ!コンビニで買った方がマシだ!」と盛大に吐き出す。その応答を見た白石は、本気でキレる。
自分が、あきらの要求に応じ、ボロボロになるまで苦労し、身も心も傷つけながら、なんとかして汲んできたソレを。あきらが、マズイ、いらない、コンビニの方がマシだとその水を捨て去った事、自分の苦労も自分の我慢も自分の想いも、一顧だにせず切り捨てたことに。
本気でキレてしまう。
ここに来て、あきらと白石の間に生じているズレが、決定的なものとして、表出してしまう。
や、勿論ズレは今までもあったのです。先ほども書いたように、どちらも、お互いが望んでいる姿や要求からは程遠い実像をしている。どちらも、我がすぎる。どちらも、番組の為に身を粉にする真剣さが少し足りない。
しかしそのズレは、お互いに不穏な、噛み合わない対応を生じさせながらも番組自体は存続するというズレであり、番組自体が存続できなくなるようなズレではなかったのです。今までは。逆に言えば、今までがそうだったから、今まで溜め込んできてしまったからこそ、ここで爆発してしまったといえるでしょう。
「あなたは見切られたんですよ。プロデューサーとディレクターに」
この言葉どおり。また第20回での「追い出す口実」発言のように。
この白石の樹海への旅は、体の良い厄介払いでした。
しかし、それと知らず行ってしまい、それと知らず苦労して、それと知らず水を汲んできて、それと知らず帰ってきてしまう白石。
ここで。もしも、あきらが白石に「クビだ」ということを、先に伝えていたのならどうでしょう。どうせクビなんだから、そんなマジになって苦労してまでやるようなことじゃないよ、ということを伝えていたのなら、どうでしょう。
多分、そういう問題なんじゃないでしょうか。
『らっきー☆ちゃんねる』。
白石はあきらに不満があり、あきらは白石に不満がある。番組は"どちらにも"思ったように動かず、どちらもがどちらとも、十分に楽しめない。
でも、そのことを、ダイレクトには伝えない。
腹を割っては話さない。もっと全力で取り組めとか、こういう風にフォロー入れろとか、本編出たいばかり言うなとか、そういう、お互いの不満点、お互いの欠点を伝えないから、こうなった。伝えてないから、白石は何度でもフォロー出来ず空気読めないし、あきらは何度でも暴走する。お互いに、自分のどこが欠点かを知らないから。
相手のことを伝えず、自分のことを知らず。
自分のことを伝えず、相手のことを知らず。
それでも今までの『らっきー☆ちゃんねる』という日常は回りました。
相手の要求やそれに自分が応えられていないことなんか知らなくても、日常が回ることは回ります。『本編』の方も同じですね。自分のことも相手のことも、存分に知らなくても。自分が相手の要求に応えられていないことも、相手の要求が何なのか不明なことも、相手の嫌なトコも相手のムカツクところも、相手が自分に対してどこをイヤと思っているのかも、相手が自分のどこにムカついているのかも、そのどれも知らなくても、日常という生活は送っていける。

でも、越えてはいけない一線もある。そこを越えては、二度と戻れないラインもある。
クビだということも話さない。
番組もブチ壊す。
終わりだよということを自覚していなければ。自分から終わりを作ってしまえば。歪で、フラストレーション溜まりながら、上手くいっているのかどうかも微妙なこの『日常』も、崩れてしまう。
初々しくもテレビ出演に緊張していたあの時も。黒くなったメインパーソナリティにハラハラしていたあの時も。執拗に絡まれたあの時も。叩かれたり脅されたりしたことも。自分が本編に出れない悔しさをブチまけたあの時も。ツインドリルという振りを作ったのにまったくアシスタントが突っ込んでくれなかったあの時も。ファンレターがアシスタントにばかり届く屈辱を味わったあの時も。風邪でゴホゴホとしか発音できないあきらの言葉の意味を、白石が読み取ってくれた時も。ふたりでバイニーと手を振った時も。
このような歪さの上で、このような二人だったからこそ成り立っていたこのような『日常』は、このような二人だったからこそ、こうして崩れてしまう。
そして、第23回。

「どんな経緯があったにしてもさぁ?ふたりでさぁ?あれよ?杯交わして一からこのコーナー作ってきたんじゃないの?」
「それがよ?こんな終盤で何もかもブチ壊しってのは無いんじゃない?」

「じゃあさ」
「ここらで手打ちにしようよ」
「残り一本、初心に帰って『らっきー☆ちゃんねる』やり遂げてみようよ」
「ねぇ、どうなの?」
噛み合わなかったり、上手く行かなかったり。楽しんだり、ムカついたり。殴られたり怒られたり、笑ったり泣いたりしたあのスタジオは、いまはもう、ない。
でも、まだ一回ある。
まだあと一回、放送の機会はある。
自分のことも相手のことも十分に知らなくても、自分にイヤなところがあったり、相手に治してもらいたいところがあっても、そこをそのまま残していても、『日常』が続いている『本編』。
自分のことも相手のことも十分に知らなくても、自分にイヤなところがあったり、相手に治してもらいたいところがあっても、そこをそのまま残してしまい、『日常』が崩壊してしまった『らっきー☆ちゃんねる』。
伝えなかった事、知らなかった事、話さなかった事……そういった諸所の積み重ねが、そして、白石みのるが「白石みのる」であり、小神あきらが「小神あきら」であること、それ自体が崩壊へと導いてしまった『らっきー☆ちゃんねる』と。
ディスコミュニケーションも、自分が自分であることも、日常を崩壊させるには至らなかった『本編』。
続く日常という『本編』との対比のように、崩壊する日常を見せた『らっきー☆ちゃんねる』。
けど、それでも、まだあと一回ある。
そこで……最終回の『らっきー☆ちゃんねる』で。白石は、あきらは、『らっきー☆ちゃんねる』というものに、自分たちの関係と自分たち自身に、どういった答えを見い出すのか。
かつての『らっきー☆ちゃんねる』と、崩壊した日常と全く同じものは見せられないだろうけど……でもそこに、この最後の一回に、彼らは何を見い出し何を思うのか。
「しっかりと今後のアニメ業界、生き残っていきな」
ゴットゥーザ様の最後の締め、この台詞のように、彼らのこの経験――番組を作り、上手くいかなかったりたまに上手くいったりしてきたけど、結局は崩壊して崩壊させてしまって、でもまた一から、一度だけやり直す――この崩壊もあわせて彼らが作り出した"この『らっきー☆ちゃんねる』"が、彼らに如何なる成長を与えるのか。
そんなこんなで、最後の『らっきー☆ちゃんねる』、注目したいところです。
(とかいいつつ、「らき☆すた」のことだから、こんだけ振っといて『らき☆ちゃん』やらないとか、実写でやるとかのネタもありえなくないけど)
WEB拍手を送る
もうすぐ終わるとはいえ大きな事件や出来事が特にはない『らき☆すた』の本編に比べ、このアニメ『らき☆すた』内の1コーナー、『らっきー☆ちゃんねる』はただ今、かなり大事な流れになっています。
ということで、『らっきー☆ちゃんねる』について、振り返ってみようかと思います。
(あくまでもアニメのみの話であって、ラジオの『らっきー☆ちゃんねる』に関してはノータッチの内容になっております)
■白石みのる
――――――――――――――――――――――――――――――――

「白石っす」
「あ、えーと、あきら様のアシスタントを勤めさせていただきます、白石みのるです。どうもっす」
「あれれ~。白石さん堅いですよ~。ほ~ら、折角テレビに出られたのだから、もっとはっちゃけたまえ!なんちって」
「すんません、慣れなくて」
『らき☆すた』本編終了後、唐突に始まったコーナー『らっきー☆ちゃんねる』。パーソナリティである『小神あきら』と、アシスタントである『白石みのる』の二人によって構成されています。
今見返してみると、この頃の白石みのるは、あきらが言っているように「堅く」「緊張して」いて、それゆえに視聴者から送られてきた(という設定の)ハガキを読み上げるなど、真面目にアシスタントをこなしています(逆、真面目にアシスタントをこなそうとしているからこそ「堅く」「緊張して」いるのかも)。
もともと『らっきー☆ちゃんねる』はラジオ番組としてアニメ放送開始前から行われており、そのラジオ番組の内実もアニメ版の『らっきー☆ちゃんねる』と関係性が高いものではありますが、大半の視聴者はこのアニメで『らっきー☆ちゃんねる』を初体験するであろうということを見越してか、ラジオ版『らっきー☆ちゃんねる』を聞いていなくても(存在すら知らなくても)十分に分かるように、疎外感を生じさせぬように作られています。
だからか、ここでの白石とあきらが、まだそんなに仲が深くない、知り合って間もない関係に見えるようになっています。
実際は、ラジオ版の方ではもう少し関係が深くなっていても、それをあまり表出させることなく、また、ラジオ版の話題をあまり出すことがない、また出たとしても、たとえそれを知らなくても、問題なく見れるようになっているように。ラジオ版『らっきー☆ちゃんねる』の出張版というより、このアニメ内でひとつのコンテンツとして(アニメのみを見るならば)かなり独立されている作りです。
それゆえに、『らき☆ちゃん』の序盤においては、白石の色々な意味での初々しさ――テレビ慣れ・番組慣れや、この仕事での役割への初々しさ――などが、よく表れている様な作りになっています。
・ギャラの話を振られて、あきらの素が出て軽く黒くなり(今思うと、本当に軽い)、白石がそれを諌めようとおろおろする感じ。
・そして音楽が切り替わり、あきらが役のあきらに戻ると、白石が「フー」と胸をなでおろす。
『アシスタント』という自分本来の役割、あくまであきらを立てて支援する、そういった役回りを(あきらに振り回されながらも)こなしています。
第2回の『らき☆ちゃん』においても、白石が本編に出演していることに、あきらが執拗に絡んできますが、白石が反抗するといった感じはなく、あきらに従うというか付き合ってるような対応を見せています。
そう、この頃はまだ、白石もアシスタントとしての職務を彼なりにまっとうしており、あきら:メイン・白石:アシスタントという形の番組が成り立っていたのです。(まだあきらの白石に対する呼び名も「白石さん」でした)

それが徐々に崩れていきます。
【More】
第3回、みゆきさんの紹介の際に、一人饒舌に喋り続ける白石。かがみツンデレ議論の時も、一人喋り続ける白石。
あきらの発言に被って入ったり(第4回)、あきらの寒いギャグに「さぶっ!」と反応してしまったり(第6回)。
第8回、フリップ逆さま"わざと"にツッコミを入れ、テロップ剥がれない(わざとじゃない?)にツッコミを入れなかったり。
あきらの振りに対し、話を膨らませる気がないかのような返答や、「ふんどし締めなおして」などの空気読めなさすぎの発言。
『アシスタント』として入った白石ですが、フォローする・盛り立てるといった役目から逸脱して、自分一人熱く喋り出したり、(あきらの)空気を読めてない行動をしたり、面白くも無い発言をしてしまったり。殆どロクに、フォロー・盛り立てるという役割を果たせていませんでした。
「いつもいつも僕が僕がって、そういうのを自意識過剰っていうのよすっこんでりゃいいのよ白石のクセにあぁクチが腐る」(第14回)
ですが、これらは重要ではありますが、見方によっては些末なことでもあります。白石がアシスタントの役割を十分に果たしていない、そこに『らっきー☆ちゃんねる』の面白さがある、という見方も出来ます。
勿論そこには、この『らっきー☆ちゃんねる』がこうなってしまったように、アシストしていないアシスタントであるという歪さが、崩壊の因子として深く存在してしまうのですが。
『らっきー☆ちゃんねる』が崩壊した原因。
白石の行動があきらの望むものでは無かったというのが要因であるのですが、一番の要因は恐らく、白石がこの『らっきー☆ちゃんねる』に対して『真剣』では無かったということでしょう。
19話にて「みのる大自然ツアー」が決定したのですが、それは幕が降りた後に「追い出す口実」といっていたように、正に白石を厄介払いにする為のものでした。
その直前の第18回。白石は番組そっちのけで、収録中に携帯メールを打ってました。
もちろん、その件だけが原因というわけではありません。ただ、白石のこういった真剣でない姿勢は、長いことやってても全然あきらと呼吸が合っていないところ、話を膨らませられないところ、空気読んでないこと言っちゃうところ、にも少しづつ表れているのではないでしょうか。真剣に、番組を盛り立てようというならば、自分が言いたいことを押し黙ってでもアシスタントに徹さなければならない時もある。面白くするために、盛り上げる為には、自分を犠牲にしなければならない時もある。
第6回。オタクの話題が出たときに、「何か言わなくちゃ俺」で適当に何か言っちゃう(ありえなく古いオタク像)白石。
「ちゃんと勉強してんの!?」と返すあきら。
こういった、僅かばかりの『真剣でない』の積み重ねが、アシスタントなのに補助していないという現状と相まって、『らっきー☆ちゃんねる』を崩していってしまったのです。
「あきら様のアシスタントを、今日もしっかり勤めさせていただく、白石みのるでございま~す」
(第18回冒頭の挨拶。番組収録そっちのけで携帯メールを打ちまくる回のこと)
■小神あきら
――――――――――――――――――――――――――――――――


「白石さんはどうですか?もう慣れました?」
「いやぁ…まだ、まぁ……すんません」
「うーん、なんかまだ白石さんがあきらに心を開いていない気がするんですよね。いつもより離れて座っている気がするし。これって心の距離なのかなって。くすん……」
「うわぁわぁ。そ、そんなことないですって」
白石近づく。あきら離れる。
(第3回)
先にも書いたように、最初期の白石とあきらの関係はまだそれなりに普通でした。あきらからすれば、コイツはどんなものかと探りを入れている状態、といえるでしょう。
ただ、白石が初っ端の第2話で本編に登場してしまったことにより、あきらの白石に対する印象に、早々に「嫉妬」「敵愾心」が入り込んでしまいました。
それにより、第2回での演技指導の名を借りたグチや、第3回でのイジリ(↑のもの)のように、白石に対する接し方の方向性がある程度決定付けられました。最初は「アシスタントのおにーさん」と言っていた白石へのあきらの態度は、こういった『イジリ』の方向に確定されてきたのです。
そしてそのイジリは、上記したように白石の空気読めなさ、あきらの要求の応えられなさによって、段々と『イビリ』に進化していってしまったのです。
勿論、そこにあるのは白石の非だけではありません。
あきらの異常なまでの本編進出への執念。
本編に出たいという意欲、次第に自分を応援してという気持ちが行き過ぎてしまい、自分は如何に素晴らしいか、自分を応援するべきなのだということを熱く力説してしまうあきら。この思いは次第に暴走していき、特に中盤以降は、なんとしても自分に応援のお便りを送れ!とか、自分のライブイベントはいつだ!?しか興味なくそれ以外の話は本気で無視したりとか、恐ろしいほどにやりたい放題。『番組する気ないだろ』と言いたくなるほどの熱の入りようでした。
先に白石に、この『らっきー☆ちゃんねる』に対して真剣ではない、と書きましたが、あきらもまた、この『らっきー☆ちゃんねる』に対して真剣ではなかったのです。
この『らっきー☆ちゃんねる』に対して、十分に、全力で、本編出演など気にせずに全力投球していたわけではなかった。
もちろんこれは……あきらの立場からすれば、白石がフォローも話膨らませることも出来ず、それでいて自分が先んじて本編に出てしまうようなアシスタントだったから、あきらもこうなってしまった、とも言えて。
白石の立場からすれば、あきらが己のアピールばかりしまくっていて、自分に対するあきらの対応も日増しにキツク当るようになっていて、わがままばかりで盛り立てなくちゃいけないから、白石もこうなってしまった、とも言えます。
しかし、こういった諸所の歪みが、『らっきー☆ちゃんねる』を崩壊へと導いたのです。
■『らっきー☆ちゃんねる』の崩壊と、もう一度だけ『らっきー☆ちゃんねる』
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第21回。
水を汲んで樹海から戻ってきた、満身創痍の白石。彼が差し出した水を飲んだあきらは、一口して「こんなもんヌルイもの飲めるかぁ!コンビニで買った方がマシだ!」と盛大に吐き出す。その応答を見た白石は、本気でキレる。
自分が、あきらの要求に応じ、ボロボロになるまで苦労し、身も心も傷つけながら、なんとかして汲んできたソレを。あきらが、マズイ、いらない、コンビニの方がマシだとその水を捨て去った事、自分の苦労も自分の我慢も自分の想いも、一顧だにせず切り捨てたことに。
本気でキレてしまう。
ここに来て、あきらと白石の間に生じているズレが、決定的なものとして、表出してしまう。
や、勿論ズレは今までもあったのです。先ほども書いたように、どちらも、お互いが望んでいる姿や要求からは程遠い実像をしている。どちらも、我がすぎる。どちらも、番組の為に身を粉にする真剣さが少し足りない。
しかしそのズレは、お互いに不穏な、噛み合わない対応を生じさせながらも番組自体は存続するというズレであり、番組自体が存続できなくなるようなズレではなかったのです。今までは。逆に言えば、今までがそうだったから、今まで溜め込んできてしまったからこそ、ここで爆発してしまったといえるでしょう。
「あなたは見切られたんですよ。プロデューサーとディレクターに」
この言葉どおり。また第20回での「追い出す口実」発言のように。
この白石の樹海への旅は、体の良い厄介払いでした。
しかし、それと知らず行ってしまい、それと知らず苦労して、それと知らず水を汲んできて、それと知らず帰ってきてしまう白石。
ここで。もしも、あきらが白石に「クビだ」ということを、先に伝えていたのならどうでしょう。どうせクビなんだから、そんなマジになって苦労してまでやるようなことじゃないよ、ということを伝えていたのなら、どうでしょう。
多分、そういう問題なんじゃないでしょうか。
『らっきー☆ちゃんねる』。
白石はあきらに不満があり、あきらは白石に不満がある。番組は"どちらにも"思ったように動かず、どちらもがどちらとも、十分に楽しめない。
でも、そのことを、ダイレクトには伝えない。
腹を割っては話さない。もっと全力で取り組めとか、こういう風にフォロー入れろとか、本編出たいばかり言うなとか、そういう、お互いの不満点、お互いの欠点を伝えないから、こうなった。伝えてないから、白石は何度でもフォロー出来ず空気読めないし、あきらは何度でも暴走する。お互いに、自分のどこが欠点かを知らないから。
相手のことを伝えず、自分のことを知らず。
自分のことを伝えず、相手のことを知らず。
それでも今までの『らっきー☆ちゃんねる』という日常は回りました。
相手の要求やそれに自分が応えられていないことなんか知らなくても、日常が回ることは回ります。『本編』の方も同じですね。自分のことも相手のことも、存分に知らなくても。自分が相手の要求に応えられていないことも、相手の要求が何なのか不明なことも、相手の嫌なトコも相手のムカツクところも、相手が自分に対してどこをイヤと思っているのかも、相手が自分のどこにムカついているのかも、そのどれも知らなくても、日常という生活は送っていける。

でも、越えてはいけない一線もある。そこを越えては、二度と戻れないラインもある。
クビだということも話さない。
番組もブチ壊す。
終わりだよということを自覚していなければ。自分から終わりを作ってしまえば。歪で、フラストレーション溜まりながら、上手くいっているのかどうかも微妙なこの『日常』も、崩れてしまう。
初々しくもテレビ出演に緊張していたあの時も。黒くなったメインパーソナリティにハラハラしていたあの時も。執拗に絡まれたあの時も。叩かれたり脅されたりしたことも。自分が本編に出れない悔しさをブチまけたあの時も。ツインドリルという振りを作ったのにまったくアシスタントが突っ込んでくれなかったあの時も。ファンレターがアシスタントにばかり届く屈辱を味わったあの時も。風邪でゴホゴホとしか発音できないあきらの言葉の意味を、白石が読み取ってくれた時も。ふたりでバイニーと手を振った時も。
このような歪さの上で、このような二人だったからこそ成り立っていたこのような『日常』は、このような二人だったからこそ、こうして崩れてしまう。
そして、第23回。

「どんな経緯があったにしてもさぁ?ふたりでさぁ?あれよ?杯交わして一からこのコーナー作ってきたんじゃないの?」
「それがよ?こんな終盤で何もかもブチ壊しってのは無いんじゃない?」

「じゃあさ」
「ここらで手打ちにしようよ」
「残り一本、初心に帰って『らっきー☆ちゃんねる』やり遂げてみようよ」
「ねぇ、どうなの?」
噛み合わなかったり、上手く行かなかったり。楽しんだり、ムカついたり。殴られたり怒られたり、笑ったり泣いたりしたあのスタジオは、いまはもう、ない。
でも、まだ一回ある。
まだあと一回、放送の機会はある。
自分のことも相手のことも十分に知らなくても、自分にイヤなところがあったり、相手に治してもらいたいところがあっても、そこをそのまま残していても、『日常』が続いている『本編』。
自分のことも相手のことも十分に知らなくても、自分にイヤなところがあったり、相手に治してもらいたいところがあっても、そこをそのまま残してしまい、『日常』が崩壊してしまった『らっきー☆ちゃんねる』。
伝えなかった事、知らなかった事、話さなかった事……そういった諸所の積み重ねが、そして、白石みのるが「白石みのる」であり、小神あきらが「小神あきら」であること、それ自体が崩壊へと導いてしまった『らっきー☆ちゃんねる』と。
ディスコミュニケーションも、自分が自分であることも、日常を崩壊させるには至らなかった『本編』。
続く日常という『本編』との対比のように、崩壊する日常を見せた『らっきー☆ちゃんねる』。
けど、それでも、まだあと一回ある。
そこで……最終回の『らっきー☆ちゃんねる』で。白石は、あきらは、『らっきー☆ちゃんねる』というものに、自分たちの関係と自分たち自身に、どういった答えを見い出すのか。
かつての『らっきー☆ちゃんねる』と、崩壊した日常と全く同じものは見せられないだろうけど……でもそこに、この最後の一回に、彼らは何を見い出し何を思うのか。
「しっかりと今後のアニメ業界、生き残っていきな」
ゴットゥーザ様の最後の締め、この台詞のように、彼らのこの経験――番組を作り、上手くいかなかったりたまに上手くいったりしてきたけど、結局は崩壊して崩壊させてしまって、でもまた一から、一度だけやり直す――この崩壊もあわせて彼らが作り出した"この『らっきー☆ちゃんねる』"が、彼らに如何なる成長を与えるのか。
そんなこんなで、最後の『らっきー☆ちゃんねる』、注目したいところです。
(とかいいつつ、「らき☆すた」のことだから、こんだけ振っといて『らき☆ちゃん』やらないとか、実写でやるとかのネタもありえなくないけど)
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らき☆すた 4 限定版パソコンのデータのコピー作業を行うこなた。表示されるコピー完了まで後、何分のお知らせ・・・だか、この数字は早くなったり遅くなったりとあてにならない・・・世の中、当てにならないことだらけである・・・。
2007/09/16(日) 06:44:26 | ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人
白石みのるについての最近の情報です。
2007/10/12(金) 18:51:09 | 最新キーワードの情報収集・動画ブログ 第六倉庫 音楽
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